族長たち

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歴史の流れ その5

アブラハムの選び

バベルの塔の事件以降、様々な国語を持つ民族が世界中に広がっていきましたが、その多くはまことの神さまへの信仰を失っていきました。しかし、真の信仰を保持する人々が残されていました。その中で、神さまに選ばれたのがアブラハムという人です。

神さまは、アブラハムとその子孫(後のユダヤ人)を用いて、世界人類を救いに導こうと計画なさいました。そこで、聖書のこれ以前の歴史は、全人類について書かれていましたが、アブラハムが登場する創世記12章以降は、ユダヤ人の歴史が中心となります。

アブラハム契約

神さまはアブラハムを選び、彼と契約を結ばれました。この契約は一度に結ばれたのではなく、長い時間をかけて少しずつ内容が明らかにされていきました。具体的には、創世記の12:1-3、12:7、13:14-17、15:1-21、17:1-21、22:15-18の6箇所に記されています。

内容を要約すると、

3つの側面

特に以下の3つの約束が、アブラハム契約の中心です。
  1. 土地の約束
  2. 子孫の約束
  3. 祝福の約束
これらは後の時代にそれぞれ、以下の契約の中で、より詳しく補足されることになります。
  1. 土地の契約(パレスチナ契約)
  2. ダビデ契約
  3. 新しい契約

割礼

ノア契約のしるしが虹であるように、アブラハム契約のしるしは割礼です。

割礼とは、ユダヤ人の男の子が、生まれて8日目に外性器の包皮を火打ち石のナイフで切り取られる儀式です。

エデン契約、アダム契約、ノア契約は、神さまが全人類と結んだ契約です。しかし、このアブラハム契約やそれ以降に結ばれた契約は、対象がアブラハムとその子孫になります。割礼は、生まれてきた子が、アブラハム契約で言われている子孫、すなわち契約の民ユダヤ人であることを確認するという意味があります。

異邦人

ユダヤ人以外の民族のことを、聖書は「異邦人」と呼びます。異邦人は、たとえクリスチャンであったとしても、アブラハム契約の直接の対象ではありません。

ただし、アブラハム契約の中にある「アブラハム、そしてイスラエルによって、全世界の人々が祝福される」という条項によって、祝福の約束にあずかることができますから、その意味では契約と無関係ではありません。

神さまがアブラハムやユダヤ人を選ばれたのは、ユダヤ人だけが救われ、祝福されるためではなく、彼らを通して全世界の人々が救われ、祝福されるためです。そのため、ユダヤ人はまことの神さまのみを信じ、神さまに忠実に従うことで、異邦人にまことの神さまを知らしめる使命が与えられています。もしユダヤ人が、自分たちが選ばれた目的や使命を忘れたなら、神さまから厳しい教育的指導を受けるでしょう。聖書の中に書かれている、ユダヤ人に対する様々なさばきがそれです。

無条件契約

アブラハム契約も無条件の契約で、アブラハムや子孫たちがどんなに失敗しても、破棄されることがありません。そして、まだすべての約束が実現しているわけではありませんから、今も有効です。

アブラハム契約の継承

アブラハム契約は、アブラハムとその子孫を対象としていますが、アブラハムの肉体的な子孫であればすべて対象になるというわけではありません。神さまは、アブラハム契約における「子孫」とは誰のことなのかを明確になさいました。

イサク

アブラハムには合計8人の息子が生まれます。長男イシュマエルは側室ハガルが産み、次男イサクは正妻サラ、残り6人はサラが亡くなった後にめとったケトラが産みました。その中で、神さまがアブラハム契約を継承させたのは、イサクでした(創世記26:2-5)。アブラハム契約で「アブラハムの子孫」と呼ばれるのは、少なくともイサクの子孫に限定されるということです。

ちなみに、長男イシュマエルからは、アラブ諸国の民族が生まれます。イスラム教では、アブラハム契約はイサクではなくイシュマエル(すなわちアラブ民族)が継承したと教えています。イスラエルとアラブの対立は、この時代にまでさかのぼるのです。

ヤコブ

イサクには2人の息子(双子)が生まれますが、神さまが選んで契約を継承させたのは、兄エサウ(死海の南方に住んだエドム人の先祖)ではなく、弟ヤコブでした(創世記28:13-15)。

ヤコブは後にイスラエルという新しい名を神さまから与えられます(創世記32:28)。

十二部族

ヤコブには12人の息子が生まれますが、彼らからイスラエル十二部族が出ます。いわゆるユダヤ人です(聖書の中では、ヘブル人とも呼ばれています)。神さまは、イサクやヤコブのときと異なり、12人の息子たちの一部を契約から除外するようなことはなさいませんでした。すなわち、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫であるユダヤ人であれば、十二部族のどれに属していても契約の民です。

この後、しばしば「アブラハム、イサク、ヤコブの神」という表現が用いられるようになりました。これは、ユダヤ人とアブラハム契約を結ばれた神という意味です。

ユダ族

アブラハム契約で定められている「子孫」は、イスラエルの十二部族すべてです。ただ、ヤコブの四男ユダには、特別な預言が与えられました。それは、創世記3:15で約束された「女の子孫」(救い主、メシヤ、キリスト)が、ユダの子孫であるユダ族から出るという約束です。

「王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。ついにはシロが来て、国々の民は彼に従う」(創世記49:10)
シロの正確な意味は分かっていませんが、ユダヤではずっと救い主のこととして理解されてきました。
この救い主によって、「アブラハム、そしてイスラエルによって、全世界の人々が祝福される」というアブラハム契約の約束が実現します。

マタイの福音書1章の系図で、イエスさまがアブラハム、イサク、ヤコブの子孫であり、さらにユダの子孫であることが明確にされています。イエスさまこそ、人類を救いに導く救い主だということを示すためです。

「アブラハムの子孫、ダビデの子孫、イエス・キリストの系図。アブラハムにイサクが生まれ、イサクにヤコブが生まれ、ヤコブにユダとその兄弟たちが生まれ」(マタイ1:1-2)

エジプトでの生活と脱出

アブラハム契約の中に、「アブラハムの子孫がエジプトで400年間奴隷状態になるが、多くの財産を持ってそこを脱出する」という約束がありますが、それが実現します。

エジプト行き

ヤコブの11番目の息子ヨセフは、ヤコブに溺愛されたため、兄たちの嫉妬を買って、人買いに売り飛ばされ、エジプトで奴隷になってしまいます。しかし、神さまの導きにより、ヨセフは最終的にエジプトの宰相となります。

その後、世界的な飢饉が起こり、ヤコブ一家はヨセフの招きでエジプトに移り住みました。エジプト王(称号はパロ。すなわちファラオ)の庇護の下、ヤコブ一家は安全に暮らしました(創世記37〜50章)。

エジプトでの隷属

ヨセフが死ぬと、やがてエジプトでヨセフのことを知らない王朝が誕生します。新しいエジプト王はイスラエルを驚異に感じ、奴隷身分に落として、建設現場での苦役を課しました。また、誕生した子が男の子なら殺すようにという命令まで出します(出エジプト記1章)。

出エジプト

そのような中、神さまに助けを叫んだユダヤ人たちの祈りは聞かれ、神さまはモーセという人物をユダヤ人のリーダーとしてお立てになりました。

モーセはエジプト王に、イスラエルを解放するように迫りますが、王は聞き入れません。そこで、様々な奇跡的災害がエジプトを襲います。そして、ついにユダヤ人はエジプトを脱出し、かつてアブラハム、イサク、ヤコブが住み、契約で「この土地をあなたとあなたの子孫に与える」と約束されたカナンの地を目指して旅立っていきました(出エジプト記2〜19章)。
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