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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

憎むことが今の仕事

(2006年6月11日)

あるクリスチャンのお嬢さん(明子さんということにしておきましょう)から、こんな相談を受けました。

聖書の中に「あなたの父と母を敬え」と書いてあるけれど、小さい時から今に至るまで、両親からされた仕打ちを思うと、とても尊敬できない。それどころか、「あいつらのおかげで、今こんなに生きづらいんだ」という思い、嫌悪感、怒り、憎しみでいっぱいになる。

そして、自分は親を愛せない、だめなクリスチャンだという、自分に対する罪責感や嫌悪感でいっぱいなんだ、と。

そこで明子さんにこんなことを申し上げました。
ご両親に今まで、そして今もされていることを考えたら、憎いと感じるのは当然だよ。

「そんなのだめだ。赦せ。むしろ尊敬し、愛せよ」なんて言われて、「はい、分かりました」って、ぱっと切り替えられるくらいなら、イエスさまの赦しも、聖霊さまの助けも、最初からいらないよね?

私も明子さんも、そんなことできないから、一方的に神さまのお世話になったんだもんね。神さまは、親を赦せない明子さんのことが、大好きなんだよ。

それにね、明子さんは、90年くらいで死んで終わる、ちっぽけな人生を生きている人じゃない。死んだ後も永遠に続く人生を与えられてる。その長〜い人生の流れの中で見たら、今はお父さんたちのことをしっかり憎んであげることが仕事だと思うよ。

だって、今まで明子さんは、親の顔色をうかがいながら、自分を殺しながら、親の要求を言葉で聞く前にキャッチして、動いていたでしょう? 喜んでやってるならいいけど、ほんとは嫌々ながら。

親も、自分の責任を果たさないで、何もかも明子さんに押しつけてきた。明子さんは、自分の人生を生きないで、親の人生を代わりに生きてあげてたようなものだよね。まったく、どっちが親なんだか分からない。

だから、そういう親に対して怒りを感じたというのは、ものすごくすばらしいことなんだ。「ねえ、明子。あなたは親の奴隷じゃないんだよ。親の親でもないんだよ。もっと自分を大切にしていいんだよ」って、自分で自分に言ってあげられるようになったということなんだから。

もちろん、その怒りを親にぶつけても分かってくれない。よけい傷つくからやめた方がいいし、明子さんもそれが分かるから、そんなことしてないよね。

だから言えるんだけど、もっともっと自分の中の怒りや憎しみを認めてあげて欲しい。怒りを感じて、しかもそれを実際に親にぶつけないようにするというのは、怒りを否定して抑圧したり、逆に怒りを垂れ流しにしたりするよりも、比べものにならないくらい大変。でも、明子さんは今それをやってるじゃない? それはとてもすごいことなんだ。

だから、明子さんは、これから怒りを認めれば認めるほど、もっともっと自分を大切にできるようになる。そうしたら、「今、自分は幸せ。だから、親のことは、まあいいか」と、自然に親を赦せるようになる。さらに、愛することさえできるようになる。

だって、明子さんは、永遠の世界とつながってて、永遠の愛と力の源であるイエスさまから、愛と力をいただいているんだもの。怒りも、そうやってイエスさまが下さった愛と力なんだ。だから、今は、いっぱいイエスさまに怒りや悔しさを聞いてもらおうね。
あなたも同じです。あなたも、永遠の世界とつながっておられます。その視点で、今の自分、今の状況を見つめ直してみましょう。何が見えてきますか?

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