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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

出発の時になったら

(2006年8月6日)

コーリー・テン・ブームさんとその家族(父と姉)は、第二次世界大戦中、オランダでたくさんのユダヤ人をナチスの手からかくまっていました。しかし、やがてナチスによってブーム一家は逮捕され、強制収容所に送られ、ひどい虐待を受けました。結局、父も姉も収容所の中で亡くなります。それらの様子は、自伝「わたしの隠れ家」で紹介されています。

ある時は、服を全部はぎ取られ、裸で寒い屋外に立たせられました。女性にとって、それは惨めで耐え難い屈辱ですが、それを7度も経験しました。あまりの惨めさと寒さで、コーリーさんは、そばにいたお姉さんに「もうこんなこと、耐えられない」とつぶやきました。

するとそのとき、突然、十字架にかかったイエスさまのイメージが脳裏に浮かびました。イエスさまは、ローマ兵に着物をはぎ取られ、裸で十字架につけられていました。イエスさまが、自分と同じ苦しみを味わってくださったということを知ったとき、コーリーさんの心に、言いようもない喜びがわき上がってきました。

その後も、イエスさまはコーリーさんやお姉さんと、いつも一緒にいてくださり、彼らがイエスさまに語りかけると、不思議な声が答えるのを確かに聴くことができました。地獄のような苦しみの中で、まるで天国にいるかのような喜びを味わわせてくださったのです。

子どもの頃、コーリーさんはお父さんにこう言いました。「お父さん。私、イエスさまのために死ねるかどうか、心配なの。そんなに強くなれないんじゃないかしら」。すると、お父さんはこう答えました。「コーリー。お前が汽車で旅行することになったとしよう。お父さんはお前にいつ旅費を渡せばいいかな。3週間前かい?」「ううん。出発する時」「神さまも同じだよ。今日、イエスさまのために、試練に耐える力がなくてもいいんだ。実際に試練にあって、その力が必要になったら、ちゃんと神さまはお前にその力を下さるから、心配しなくていいんだよ」。

そして、イエスさまは、お父さんの言ったとおり、収容所の地獄のような苦しみの中で、その苦しみに耐える力を与えてくださいました。それどころか、天国の喜びまでも体験させてくださいました。まさに、「義のために迫害されている者は幸いです。天の御国はその人のもの だからです」(マタイ5:10)と書かれているとおりです。

ここぞと言うとき、イエスさまはあなたにも、ちゃんと力を与えてくださいます。

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