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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

マニュアル通り

(2012年6月3日)

子ども連れの夫婦がファミリー・レストランにやってきました。入り口でウェイトレスが「何名さまですか?」と尋ねますので、お父さんが指を三本立てました。「たばこはお吸いになりますか?」 「いいえ」。「それでは、こちらのお席にどうぞ」。家族は窓際の禁煙席に案内されました。

席に着くと、先ほどのウェイトレスが、メニューと3人分の水とおしぼりを持ってきました。ちゃんと子ども用のメニューも用意されています。お母さんがため息混じりにつぶやきました。「うちの子、まだミルクしか飲めないのに……」。 お父さんも苦笑しながら、「見れば分かるのに、マニュアル通りにしかできないんだなあ」。

最近はマニュアルばやりで、マニュアルがなければ何をしたらいいのか分からない人たちが増えているそうです。たとえば、若い人たちのデートのやり方ですら、どこに行くか、どんな会話をしたらいいかなど、事細かに紹介したマニュアル本が頼りにされているとか……。日本は自由になったと言いながら、本当はものすごく不自由な国になってしまっているのかもしれません。

マニュアル自体は悪いものではなく、この複雑な社会の中で円滑に動き回るには、なくてはならないものです。しかし、どうしてそのような決まり事があるのかを、自分なりに考え、咀嚼して、自分のものにしなければ、私たちの周りに起こってくる生きた現実にうまく対応することができません。

聖書も、ある意味で人生のマニュアル本と言えるかもしれません。聖書は良い物ですが、使い方を誤ると律法主義に陥って、人生を窮屈にしたり、人を傷つけたりしてしまいます。なんとか自分の血肉にしていきたいですね。

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