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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

ヤギを取り上げられた代わりに

(2012年7月29日)

アフリカで活躍していた宣教師リビングストンは、さらに奥地にあるコンゴに行くよう神さまの促しを受けました。さっそくコンゴに向かったリビングストンは、ある部族の村に到着しました。

この部族の習慣では、よそ者を村に入れる場合、酋長がその人の持ち物から好きな物を選び取り、代わりに酋長の持ち物をその人に授けるという儀式が必要でした。リビングストンは、門の外に持ち物を並べながら、心の中でこう祈りました。「主よ。どうかヤギだけは取り上げられないようにお願いします」。

実はリビングストン、繊細な胃腸がアフリカの水を受け付けず、飲むとすぐにおなかを下してしまうのでした。もちろんいやしを祈っていましたが、今までのところ奇跡は起こらず、水分補給をヤギの乳に頼るしかない状態でした。もしヤギを取り上げられたら、水分を採れずに干上がってしまいます。

酋長がやってきました。彼は即座にヤギに近づき、指をさしました。家来の一人がヤギを取り、どこかへ連れて行ってしまいました。しばらくして、その家来は一本の杖を持ってきて、それをリビングストンに手渡しました。リビングストンはがっかりしました。今まで彼の命を守ってくれていたヤギを取り上げられ、その代わりが古ぼけた杖一本だなんて!

すると、リビングストンの表情を見て取った現地ガイドがこうささやきました。「先生。それは単なる古い杖なんかじゃありませんよ。これは酋長の権威を表す杖です。これを持っているなら、あなたはこの界隈のどの部族、どの村にも安全に出入りすることができるのです!」

リビングストンは、大切な大切なヤギを失いましたが、その代わりにこの地域でたくさんの人たちに福音を語ることができるようになりました。そればかりか、神さまはリビングストンがヤギがいなくても生きていられるようにしてくださいました。すなわち、彼の胃腸をいやしてくださったのです。

神さまが私たちの大切なものを奪われるとき。それはもっと良いものを下さるときです。

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