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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

何のために生きるのか

(2012年12月9日)

入院中のおばあさんは、ご自分の死期が近いことを知り、すっかり自暴自棄になってしまいました。看護師や同部屋の人たちに対して、横暴に振る舞ったり、医者の指示を無視したり……。自分はもうすぐ死ぬのだ。そう思ったら、生きる意欲がすっかりなくなってしまったのです。

しかし、ある朝病室の窓から何気なく外を眺めていると、何人ものビジネスマンや学生たちが、とぼとぼとうつむいて出勤・登校していく姿が見えました。彼らは体は元気なはずなのに、自分と同じように人生に絶望しているように見えます。

次の朝、おばあさんは看護師さんに頼んで、車いすに乗せてもらいました。そして、病院の門のところに行き、前を通るビジネスマンや学生たちに、「おはようございます」「今日も元気で行ってらっしゃい」と、笑顔で声をかけました。次の日も、また次の日も、おばあさんは門のところであいさつを続けました。最初は怪訝そうに見返すだけだった人たちも、にこにこと笑顔で返事を返してくれるようになりました。

おばあさんの病室での態度は一変しました。すっかり元気を取り戻し、治療にも協力的になり、同室の患者や看護師に対しても優しい心遣いを見せるようになりました。そして、医者の余命予想の2倍も長生きしたのです。

私たち人間は、生きる意味を見出さなければ生きていけない存在です。たとえ死を目前にしていても、生きる意味を見出している人は輝いて毎日を過ごすことができます。私たちは生きているのではなく、生かされている。だからどんな人にも使命と生きる意味がある。その一つが、人に愛の行ないをすること。もしも、あなたがこの人生の奥義を手になされば、あなたの人生は豊かなものになるでしょう。

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