ショートエッセイ：中通りコミュニティ・チャーチ

（2015年12月20日）

12月25日はクリスマスですね。そして、クリスマスは、イエス・キリストの誕生日ということになっています。しかし、実際には、キリストがいつ生まれたのかということは聖書に書かれていません。そもそも、最初期のキリスト教会は、イエスさまの誕生日については無頓着で、むしろイースター（復活祭）の方を重視していたようです。

では、なぜ12月25日がクリスマスになったのかといえば、当時のローマ帝国で非常に優勢であったミトラ教における救い主、太陽神ミトラの誕生日が12月25日だったからだと言われています。この頃は冬至の時期にあたりますが（実際は22日頃）、冬至を境に昼の長さが長くなっていくところから、12月25日がミトラ神が再生する日（誕生日）だと考えられたわけです。

さて、聖書のマラキ4:2では、救い主（キリスト）のことを「義の太陽」と表現しています。そこで、当時の教会は、ミトラではなくイエスこそまことの太陽（そして救い主）だと主張することで、ミトラ教徒をキリスト教に改宗させようとしました。そこで、それまであまり重視されていなかったイエスさまの誕生日を利用したわけです。

中には、異教的な起源を理由に、クリスマスを祝うことを避ける教会もあると聞きます。しかし、私たちの教会では、クリスマスをお祝いします。それは、クリスマスが最も伝道しやすい時期だからです。クリスマスの時期、人々はイエス・キリストについて考えやすくなります。そして、他の時期に比べれば、はるかに抵抗なく教会に訪れてくれます。実際問題として、クリスマスは、最も教会が伝道しやすい時期なのです。

「福音のためなら、わたしはどんなことでもします」とパウロは語りました（第１コリント9:23 新共同訳）。パウロは、「救われるためには、キリストを信じるだけでなく、割礼を受けなければならない」という思想に対しては、命を賭けて激しく反発しました。しかし、ユダヤ人とギリシャ人のハーフであった弟子のテモテには割礼を受けさせています。それは、その方がユダヤ人に対して伝道しやすいと考えたからでしょう。

何が命を賭けても守らなければならないものなのか。それを私たちは賢く見分ける必要がありますね。少なくとも、イエスさまの誕生日が何月何日なのかは、魂の救いに比べれば、枝葉の問題です。クリスマスの日付より、あなたの命の方が、はるかにはるかに大切です。