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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

失った指と牢屋の祝福

(2016年4月24日)

アフリカのある部族の長老は、その地域で伝道していた宣教師をことのほか尊んでいました。長老は、この宣教師から、天地を造り、今も支配しておられる創造主の神の話を聞くのを楽しみにしていました。

ある日、長老は宣教師を伴ってジャングルに狩りに出かけました。ところが、銃の扱いに慣れていない宣教師は、誤って長老に向かって弾を発射してしまい、そのせいで長老は手の指を一本失ってしまいます。さすがに怒った長老は、この宣教師を牢屋に入れてしまいました。

数ヶ月後、長老は、今度は一人で狩りに出かけました。ところが、道に迷ってジャングルの奥地へと踏み込んでしまい、その土地の住民たちに捕らえられてしまいました。長老にとって運の悪いことに、彼らは人食い部族として他の部族から恐れられていた人々でした。彼らは、じっくりと「食材」を吟味し始めました。そして、指が一本欠けていることを発見します。

実は、その人食い部族では、指が欠けている人を食べると呪われると、代々言い伝えられていました。そこで、長老はすぐにその場で解放されます。おまけに、呪いの種を自分たちの土地から遠ざけるために、帰り道まで教えてもらいました。

あの宣教師の失態のおかげで自分が命拾いをしたと知った長老は、自分の村に帰るとすぐに宣教師を解放しました。そして、こう言いました。「先生。あなたがよく、神の摂理について語っておられたのを思い出しました。そして、このたび、私はそれを体験しました。私は、指を失ったおかげで命を得たのです」。

そして、続けてこう尋ねました。「では、あなたにとって、神の摂理とは何だったのでしょうか。何ヶ月も狭くて暗い牢屋に入れられたことが、なぜ祝福だったと言えるのですか?」

すると、宣教師はにっこりとほほえんで答えました。「単純なことです。もし、銃を暴発させず、牢屋に閉じ込められていなければ、今回もきっと狩りに連れて行っていただいたことでしょう。そして、私たちには指が10本そろっているのですから、あなただけでなく、この私も夕食のおかずにされていたはずですよ」。

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