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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

のぞみはないが

(2019年11月10日)

日本の臨床心理学界の重鎮だった、故・河合隼雄先生のエピソードです。学会出席のために東北地方に出張していました。夜になると、関西地方に住む患者の一人から電話が入りました。「先生、俺もうダメだ」という、自殺をほのめかす内容でした。河合先生は、翌日の予定をキャンセルし、その日のうちに関西に向かいます。ところが、彼に会って何と言ってやったらいいのか、まったく思い浮かびません。

すると、そんな河合先生にこんな言葉をかけた人がいます。「のぞみはもうありません」。

「のぞみはもうありません。しかし、ひかりはあります」。それは東京駅の駅員さんでした。もちろん、駅員さんは新幹線ののぞみ号とひかり号の話をなさったわけですが、河合先生はその言葉にいたく感動なさいました。

「望みはないが、光はある」。確かに素晴らしい言葉ですね。人間的な望みが全てついえたとしても、光であるイエスさまがくださる確かな未来があります。「すべての人を照らすそのまことの光が、世に来ようとしていた」(ヨハネ1:9)。「私のたましいよ黙ってただ神を待ち望め。私の望みは神から来るからだ」(詩篇62:5)。

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