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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

もっと光を!

(2020年5月24日)

誤用されている名言シリーズ。今日は、ドイツが生んだ偉大な文豪ゲーテが、いまわの際に語ったとされる言葉です。「もっと光を!」 政治家であり哲学者でもあったゲーテの言葉には、何とも言えない含蓄がありますね。

しかし……本当は含蓄も何もありません。彼の最期を看取った司法長官や土木建設局長の記録によると、本当の言葉はこうです。死の30分前、ゲーテは召使いにこう言いました。「もっと光が入るよう、鎧戸を開けておくれ」。鎧戸とは、日本でいうと雨戸のようなものです。要するに、部屋の中が暗いからもっと明るくしてくれという、ただそれだけの言葉なんですね。

ゲーテだけでなく様々な歴史的偉人が、本当はそういう意味で語った言葉ではないのに、後世の人から勝手に教訓や警告や予言の言葉として解釈されています。特に、前後の文脈(話の流れ)を無視して、その言葉だけ抜き出して解釈するとそうなります。

実は、聖書の言葉もそうです。単に「こういうことが起こった」という歴史的事実が書いてあるだけなのに、これは将来起こることの予言であるとか、将来イスラエル民族にこういうことが起こると予言しているだけなのに、これは今の時代に教会が経験することの比喩だと解釈するとか……。

その言葉が何を意味しているのかは、文脈に注意すれば分かります。そして、歴史は歴史として、将来の予言は予言として、詩的表現は詩的表現として、教訓は教訓としてもっと素直に読めばいいのです。そう、私たちが新聞を読むみたいに。

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