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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

女王陛下のキス

(2020年12月13日)

2000年7月4日、20世紀最後のアメリカ独立記念日を祝う海上式典がニューヨーク港で行なわれました。そこには、世界各国から民間船や軍艦約240隻が集まり、日本も海上自衛隊の練習艦「かしま」を派遣しました。

ところが、ここで事故が起こります。当日ハドソン川の流れが速く、また風が強かった影響で、イギリスの豪華客船クイーン・エリザベス2の船尾が横に流され、近くにいたかしまの艦首に接触してしまったのです。

幸い双方とも損傷軽微で怪我人も出ませんでしたが、何しろ相手は軍艦。事と次第によっては国際問題になりかねません。青くなったクイーン・エリザベス2の船長は、港に接岸するとすぐに機関長と一等航海士をかしまに派遣して謝罪しました(船長本人が行かなかったのは、着岸直後は、船長は船を離れられない規定だからです)。

丁寧な謝罪を受けたかしま艦長上田勝恵一等海佐は使者にこう返答しました。「幸い損傷も軽かったし、別段気にしておりません。それよりもエリザベス女王陛下にキスを賜り光栄です」。このウィットに富んだ返答は、瞬く間にニューヨーク港の船乗りたちの間に広まり、各国の様々なメディアでも紹介されました。

トラブルが起こったとき、いたずらに相手を叩き潰すのではなく、相手も自分も共に引き上げられるような言葉を使いたいですね。そのためにはかなりの精神的余裕が必要です。どんなときにもイエスさまが着いていてくださるから大丈夫という確信が、私たちに余裕を与えてくれます。

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