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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

いのちの平安

(2021年10月17日)

10月10日にNHK総合テレビで放送された「こころの時代〜宗教・人生〜」に、淀川キリスト教病院理事長の柏木哲夫先生が出演なさいました。先生は、日本で初めてのホスピス病棟を同病院に作り、その責任者として活躍なさいました。先生がクリスチャンでいらっしゃるためでしょう、インタビューは教会堂の中で行なわれました。

番組で語られた患者さんのエピソードの1つを紹介します。倉庫業の会社を経営していた腎臓癌の男性Aさんと、クリスチャンで肺癌になった女性Bさんです。AさんもBさんも、緩和ケア開始から3日で痛みや息苦しさが収まりました。

すると、激しい痛みが取れて自分の心に向き合う余裕ができたAさんは、「死にとうない。怖い」と叫ぶようになり、衰弱してしゃべることができなくなるまでそれが続きました。一方のBさんは、亡くなる直前、見舞いに来たお嬢さんに向かって、「じゃあ、行ってくるね」と言い、間もなく静かに息を引き取りました。それは、まるでふすまを開けてすぐ隣の部屋に行くかのようなさりげなさだったといいます。

Bさんはクリスチャンでした。柏木先生はおっしゃいました。死後に行く場所があることを知っていたBさんは、いのち、すなわち魂に平安を得ていたので、物質的な生命が間もなく消えようとしていた時でも希望を失うことがなかったのだと。

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