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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

泣いている人とともに

(2021年11月14日)

ある人が、新聞で知人の死亡広告を目にしました。葬儀に参列しようと思って、新聞に書かれていた葬儀場に向かいましたが、うっかりして別人の葬儀会場に紛れ込んでしまいました。気づいたときには葬儀が始まった後だった上、ほんの数名の参列者しかいなかったため、今さら出て行くことができなくなってしまいました。

葬儀が終わると、彼以外の参列者は急ぎ足で帰っていきます。埋葬のために墓地に向かうのは、夫を亡くした未亡人と牧師と葬儀社の人たちの他、誰もいませんでした。長年連れ添った愛する人を失って深く悲しむ未亡人を、たった1人で墓地に送り出すことに心を痛めたこの人は、せめて自分だけでもと思って同行することにしました。

埋葬後、葬儀と埋葬式に参列してくれたことを感謝する未亡人に、この人は正直に葬儀会場を間違えたことを告白しました。しかし、未亡人はにっこり笑って言いました。「気づいていました。初めて見るお顔でしたから。でも、そんなことは関係ありません。あなたがこうして私のそばにいてくださって、私と共に悲しんでくださったことが、私にとっては大きな慰めだったのです。本当にありがとうございます」。

聖書にこうあります。「喜んでいる者たちとともに喜び、泣いている者たちとともに泣きなさい」(ローマ12:15)。深い悲しみの内にいる人に対して、気の利いた慰めや励ましの言葉なんかかけられないときがあります。しかし、その人の隣にいて、共にその悲しみを味わうことが、その人にとって大きな慰め、励ましになります。

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