イエスのからだと契約の血

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コリント人への第一の手紙11章23節〜26節

(2017.3.26)

参考資料

25節の「夕食」は、ユダヤの過越の祭りで食べた食事。ユダヤの暦でニサンの月の14日(現在の暦だと3〜4月頃)に、家ごとに小羊をほふって、その血を戸口の門柱と鴨居に塗ります。そして、その夜(ユダヤでは日没で日付が変わるので、15日)、その小羊の肉を焼いたものと苦菜、パン種を入れずに焼いた無発酵パンを家族が一緒に食べます。
  • 小羊はさばきを身代わりに受けて死んでくれた、救いの象徴です。
  • 苦菜はエジプトでの苦しみを象徴しています。
  • また、種を入れないパンは、急いでエジプトを脱出したことを記念しています。後には、傲慢(魂の腫れ物)を取り除くという意味も込められるようになりました(第1コリント5:6参照)。
25節の「新しい契約」については、こちらの記事をお読みください。

聖書からのメッセージ

イントロ

前回は、洗礼式について学びました。今回は、イエスさまが行なうよう命じておられるもう一つの儀式である、聖餐式について学びます。特に、最初の聖餐式が、過越の祭りの中で行なわれたというところに注目して、私たちにとっての意味を考えてみましょう。

1.過越の祭り

エジプトからの脱出

昨年、出エジプト記について学びました。当時、イスラエルの民はエジプトで生活していましたが、奴隷身分に落とされ、ひどい苦役を課されていました。神さまは彼らの祈りを聞き、モーセをリーダーとしてお立てになって、エジプト王にイスラエルを解放して約束の地カナンに帰らせるよう交渉させました。ところが、王は頑として受け入れようとしません。そこで、神さまはエジプトに10個の災害を起こされました。

10番目の災害は最もひどいものでした。エジプト中の初子(母親から最初に生まれた子ども)が、人も家畜もみんな死んでしまうというものです。ところが、イスラエル人の初子だけはこのさばきから免れました。神さまが逃れの道を用意してくださっていたのです。

それは、家ごとに小羊をほふり、その血を戸口の門柱と鴨居に塗ることでした。エジプトにさばきを下すために来られた神さまは、戸口に血が塗られているのをご覧になると、その家には何もせずに通り過ぎました。

こうして、頑なだったエジプト王も、ついにイスラエルの解放を認めました。過越は、イスラエルの国がどのようにしてできたのかということを説明し、自分たちと神さまとの関係を確認する、最も重要な祭りです。

祭りの食事

初子のさばきの夜、神さまはイスラエルの人たちに、特別な食事を取るようお命じになりました。これは単におなかを満たすための食事ではなく、祭りの一環として行なわれる、いわば儀式としての食事です。

具体的には、戸口に血を塗るために殺した小羊の肉を焼き、苦菜を添えて、種を入れないパンと共に食べました(出エジプト12章参照)。その意味については、参考資料をご覧ください。

自分の体験として味わう

そして、過越の祭りとその食事は、約束の地に戻ったら、毎年行なうよう命ぜられました。その際、子どもたちと親との間でこのような会話をするよう定められています。

「あなたがたの子どもたちが『この儀式はどういう意味ですか』と言ったとき、あなたがたはこう答えなさい。『それは【主】への過越のいけにえだ。主がエジプトを打ったとき、主はエジプトにいたイスラエル人の家を過ぎ越され、私たちの家々を救ってくださったのだ』」(出エジプト12:26-27)。

過越の食事を味わうことで、出エジプトの体験が過去のものではなく、今まさに味わっている出来事となります。また、ずっと後の世代の人たちにとっても、先祖の体験ではなく、自分自身の体験となります。

こうしてイスラエルの人たちは、過越の祭りを祝い、食事を共にすることによって、神さまと自分たちが特別な関係だということを再確認します。

また、皆さんは、同じ出身県だというだけで、あるいは学生時代に同じ部活動をしていたというだけで、妙な親近感を覚えることがありませんか? イスラエルの人たちもそうです。同じ出エジプト体験を共有する自分たちがひとつの共同体に属する仲間なんだということを、過越のたびごとに再確認します。

聖餐式は、この過越の食事をイエスさまが発展させた儀式です。

2.聖餐式

パンとぶどう酒、そして小羊

イエスさまが弟子たちと一緒に取られた過越の食事が、最初の聖餐式となりました。イエスさまが、「これはわたしのからだです」とおっしゃったパンは、過越のパンです。そして、「これはわたしの契約の血です」とおっしゃったぶどう酒は、過越の食事で振る舞われたお酒です。

出エジプト記には、過越の食事でぶどう酒を飲むことについては書かれていませんが、イエスさまの時代には、過越の食事の中で4回ぶどう酒を回し飲みしていました。それぞれ「感謝」「さばき」「贖い(さばきからの救い)」「賛美」を表します。23節でイエスさまが弟子たちに回したぶどう酒は、3回目、すなわち「贖いの杯」です。

そして、聖書は、イエスさまのことを「過越の小羊」と呼んでいます(第1コリント5:7)。昔、エジプト全土を襲ったさばきからイスラエルを救った小羊と同じように、イエスさまは全人類に下ろうとしている罪のさばきから、私たちを救い出してくださいました。それは、イエスさまが過越の小羊のように身代わりに死んでくださったためです。

過越の祭りは、イスラエルがエジプトの奴隷状態から解放されたことを記念していました。そして、聖餐式は、私たちクリスチャンが、罪の奴隷状態から救い出されたことを記念しています。

罪の奴隷状態からの解放

前回、洗礼について学びました。その際、「私たちは罪に対して死んだ」ということを確認しました。かつての私たちは、まことの神さまを知りさえしませんでしたから、罪(神さまの存在や尊厳やみこころを無視すること)を犯さないではいられない存在でした。しかし、イエス・キリストを信じたとき、罪に対して死んだので、決して罪の故に神さまに滅ぼされることはないし、もう罪の誘惑に従う必要もなくなりました。

救いは、イエスさまを信じたときに、1回限りで有効になりました。途中でどんなに大きな失敗をしたとしても、それで救いが無効になることはありません。ですから、自分が救われたことを公に宣言する洗礼式は、生涯で1回限りです。複数回行なうものではありません。
  • 幼児洗礼を受けた人の場合には、自分の意思で受けたわけではありませんから、成長してから自分自身の信仰告白として、改めて洗礼を受けることはあり得ます。

繰り返す聖餐式

しかし、聖餐式は繰り返し受けるよう定められています(25節の「たびに」という言葉に注目)。ちょうど過越の食事が、毎年繰り返し行なうよう命ぜられていたのと同じです。

私たちは、2000年前の出来事を目撃したわけではありません。
  • イエスさまは不当な裁判を受けました。
  • 先に金属片や動物の骨などをつけたムチで、39回も思い切り打たれました。
  • 頭には茨の冠をかぶせられ、頬を殴られ、つばを吐きかけられ、罵られ、嘲笑されました。
  • 重い十字架を背負ってエルサレムの町を歩かされ、そしてはりつけにされました。
  • 絵画や映画では下着を着けていますが、徹底的に辱めるため、本当は素っ裸です。
  • そして、神さまの怒りを一身に受けて亡くなりました。
私たちはそれを目撃していません。

また、イエスさまは、3日目の朝、よみがえって弟子たちの前に姿を現され、彼らを祝福なさいました。
  • 弟子たちは、イエスさまを裏切ってしまった罪責感から解放されました。
  • しぼんでいた希望がよみがえりました。
  • 喜びと感動に満ちあふれました。
  • そして、生き方が全く造り変えられてしまいました。
ところが、私たちは、イエスさまの復活も目撃していません。

しかし、聖餐式にあずかることによって、私たちはペテロやマタイたちと同じ体験を味わうことができます。彼らが、イエスさまの十字架と復活を目撃して、それが自分のためだったと強烈に教えられ、感動したように、私も「この私」を救うためにイエスさまは死んでくださった。そして「この私」に新しい人生を与えるために復活してくださった。そのような喜びや感動を味わうことができます。そして、それを毎回毎回フレッシュに再体験することができます。

さらに、聖餐式にあずかることによって、私たちは教会に属するお互いが同じ体験をしている仲間だということを再確認します。それぞれ個性も能力も社会的地位も違うし、好き嫌いや苦手意識だってあるかもしれない。けれど、聖餐式によってイエスさまによる救いを再体験し、神さまに愛され守られ導かれているという感動を新たにするとき、私たちはお互いに尊敬し合い、愛し合うことができるようになります。それどころか、まだ救われていない人たちのことも、尊敬し、愛することができるようになります。

まとめ

聖餐式は、単にパンとジュースを飲み食いすることではありません。それは、私たち自身が体験した救いの感動、そして2000年前の弟子たちが体験した救いの感動を味わうことです。それによって、ますますイエスさまへの感謝と愛を深め、お互いへの尊敬と愛を深め、教会の外の人たちへの尊敬と愛を深めることができます。

来週は礼拝中に聖餐式が行なわれます。意味を深く考えながらご参加ください。

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