絶望的な気分になったとき

預言者シリーズ1

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第1列王記19章1節〜18節

(2017.7.9)

参考資料

ソロモン王の死後、イスラエルは南北王国に分裂します。1節のアハブは、紀元前9世紀半ばに北王国を治めた王です。外国からめとった王妃イゼベルの影響で、異教の神バアルやアシェラへの偶像礼拝を国中に広め、預言者エリヤと激しく対立しました。

8節の神の山ホレブは、モーセが律法を与えられたシナイ山のことです。

15節のハザエルは、元はアラムの王ベン・ハダデの家臣でしたが、後に王を暗殺して自らが即位しました。その後、彼はたびたび北王国を攻撃して、その国土を荒廃させます。

16節のエフーは、北王国の将軍ですが、後に北王国の王となったヨラム(アハブの第2王子)とイゼベルを殺し、自らが王位に就きました。

聖書からのメッセージ

イントロ

預言者エリヤはうつ状態に陥り、死を願うほど弱り切っていました。私たちも落ち込みを経験することがあります。エリヤへの神さまの関わりから、落ち込んだときに神さまが私たちをどのように励ましてくださるか教わりましょう。

1.エリヤへの神の関わり

大勝利の後のうつ状態

北王国7代目の王アハブは、シドンの王女イゼベルと結婚しました。ソロモン王の外国の妻たちが異教礼拝・偶像礼拝を持ち込んだように、イゼベルも異教神バアルとアシェラへの礼拝を持ち込みます。これまでもイスラエル人は、たびたび偶像礼拝や異教礼拝の罪を犯しましたが、アハブとイゼベルはこれを国家規模で推し進めました。彼らはバアル礼拝のための神殿や祭壇を建て、聖書の神に仕えるまことの預言者たちを次々と虐殺しました。

このため、神さまは北王国を日照りに見舞わせ、これが3年間も続きます。バアルとアシェラは豊作をもたらすとされた神々ですから、これは大変な皮肉です。そして、聖書の神に仕える預言者エリヤは、カルメルという山の上で、バアルやアシェラに仕える預言者850人と、雨乞い合戦を繰り広げることになりました。エリヤは見事に勝利し、まことの信仰を取り戻した民に命じて、異教の預言者たちを皆殺しにさせてしまいました。

今回の箇所は、その続きです。王妃イゼベルから殺害予告をされたエリヤは、恐れを感じて、150キロも離れた南王国の南端ベエル・シェバまで逃げ出し、さらに南の荒野へと下ります(地図はこちら)。そして、疲れ果てて座り込み、もう死なせて欲しいと神さまに祈りました。

神さまの取り扱い

絶望感で一杯だったエリヤの元に、神さまは天使を遣わして力づけます。それは食べ物と休息によってです。

それで少し元気になったエリヤは、さらに南に向かい、40日後に、昔モーセが律法を与えられた神の山ホレブに到着しました(地図はこちら)。そこで、今度は神さまご自身がエリヤに声をおかけになりました。神さまがおっしゃったことは、大きく分けると2つです。
3人の人物への油注ぎ
1つ目は、3人の人物に油を注いで王や預言者として任命せよという命令。エリヤは北王国の偶像礼拝者たちによって苦労を重ね、精神的にボロボロの状態になっていましたが、神さまは彼らをそのまま放置しておくことはしないとおっしゃっています。油注がれる3人は、北王国に対するさばきを実行する人たちです。
  • 後にアラムの王となるハザエルは、たびたび北王国を侵略して、その国土を荒廃させます。
  • エフーは、北王国の王ヨラム(アハブの2代後の王)とイゼベルを殺して王となります。そして、バアルの信者たちを殺し、バアル礼拝を国から一掃しました。
  • エリシャが北王国にさばきをもたらしたという記録は、聖書の中には見つけられません(彼をはげ頭と罵った子どもたちが、熊に殺されたくらい)。しかし、彼は預言者として、まことの神に立ち返るよう王や民に訴え続けました。その意味で、彼は偶像礼拝者たちを「殺した」のです。
エリヤは、たった一人で戦っているような気分になり、そのために疲れ切っていましたが、彼は一人ではないと神さまはおっしゃったのです。
残された7千人
2つ目は、まことの神への信仰を失っていない民が7千人もいるということです。ここでも神さまは「あなたは孤独ではない」と励まされました。

これでエリヤはすっかり元気を取り戻し、神さまへの信仰を再び燃え立たせ、国に帰っていきました。

2.落ち込んだときの心構え

体を整えましょう

落ち込んだり、落ち込みそうになったりするとき、まず必要なことは、食事や休息によって、体の調子を整えることです。

エリヤは食事と休息によって元気を回復しました。落ち込んだ気分や死にたいという願望自体は無くなりはしませんでしたが、それでも行動することができるほどには元気になったのです。

私たちの心と体は連動しています。笑いが免疫力を高めるというのは、医学的にも証明されていますし、歯が1本痛くなっただけで、祈ることが難しくなってしまったりします。また、天を仰ぎ、手を掲げながら祈ると、神さまの素晴らしさをより感じられるような気持ちになります。

ですから、バランスのとれた健康的な食事や十分な休息は、私たちの精神状態や霊的な状態さえ左右する、大切なものです。

東北のマザーと呼ばれ、昨年94歳で亡くなった、佐藤初女(はつめ)さんという方をご存じでしょうか。青森県弘前市内の自宅や、岩木山麓に作った「森のイスキア」という施設で、問題を抱えた人たちを受け入れて、その話に耳を傾け、支え続けました。初女さんが特に大切にしたのは、素材の味をそのままにいただく食事でもてなすことでした。素朴な食事によって体が整えられ、さらには心の問題も改善していくことができると初女さんはおっしゃっています。初女さんの作るおむすびは、食べただけで涙がこぼれ、生きる力が与えられるものだったそうです。

皆さんは、食事や休息に気を配っておられますか? 落ち込みそうになったときには、意識して食事と休息を取りましょう。

神の声を聴こう

意識して食事と休息を取ったら、静まって神さまの語りかけに耳を傾けましょう。

エリヤは、神の山ホレブまで導かれ、そこで神さまの語りかけを聴きました。この山は、昔モーセを通してイスラエルの民が律法をいただいた場所です。律法というと、様々な命令や禁止事項満載の、堅苦しい教えのように思えます。命令を守れば愛してやるが、守らなければ愛してやらないぞ……そんな感じです。

しかし、律法の前文に当たる出エジプト20:2にはこう書かれています。「わたしは、あなたをエジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、主である」。前回の学びでも触れたように、まず神さまはイスラエルを愛し、彼らをエジプトの奴隷状態から救い出してくださいました。これが大前提です。「だから」、愛された者として、こんなふうに生きて欲しいというのが、モーセの律法の趣旨です。

出エジプトの時のイスラエルは、ホレブを出発してから約束の地に入るまでに40年かかりました。一方、エリヤは40日で約束の地からホレブまでやってきました。40という数字の一致が、何だか象徴的ですね。要するに、神さまはエリヤに、出エジプトの旅を逆にたどらせたのです。それは、「自分は神さまに見捨てられた」という彼の誤解を解き、神さまにずっと愛され守られているのだという事実を確認させるためです。

神さまのエリヤへの愛の語りかけは、激しい風、地震、火(稲妻のこと)のような、誰にでも分かる形ではやってきませんでした。それは、かすかな細かい声でした。静まって、聞こうと耳を澄ませなければ聞こえない声です。

神さまは、あなたにも愛の語りかけをなさっています。あなたを慰め、励まし、勇気づけようとなさっています。それは小さな声です。落ち込だり、気持ちが混乱したりしていればしているいるほど、あなたには神さまに訴えたいこと、聞いて欲しいことがたくさんあるでしょう。しかし、そういうときこそ、聖書を読んで祈り、その祈りの中で意識して神さまの声に耳を傾けてください。

「知れ。【主】は、ご自分の聖徒を特別に扱われるのだ。私が呼ぶとき、【主】は聞いてくださる。恐れおののけ。そして罪を犯すな。床の上で自分の心に語り、静まれ。義のいけにえをささげ、【主】に拠り頼め」(詩篇4:3-5)。

広い視野を持とう

そして、神さまの語りかけを聴きながら、自分に自分のこれからの人生や世界がどう見えているかに固執するのをやめて、神さまが自分やこの世界をどんなふうにご覧になっているかを知り、ものの見方を切り替えましょう。

エリヤは、「みんな神さまを捨ててバアルを信じるか、さもなければ殺されました。そして、私一人だけが残されました」と訴えました。

しかし、これは嘘です。18章の雨乞い合戦の直前、エリヤはアハブ王の側近オバデヤと出会います。そして、オバデヤがまことの預言者たち100人をアハブとイゼベルによる虐殺から救い出し、洞穴で密かに養っているという話を聴きます。エリヤは、オバデヤも入れて少なくとも101人のまことの信仰者が他にいることを知っていたのです。

しかし、気分が落ち込んでいるときには、冷静な判断ができなくなるものです。うつ状態になった人、あるいはなりやすい人の特徴のひとつは、証拠もないのに極端な結論を出すということです。たとえば、
  • 証拠もないのに、自分や他人やこの世の中に対して、ダメだという評価を下す。
  • 人の気持ちを勝手に読み取って、嫌われているとか、迷惑がられているとか決めつける。
  • 自分の気持ちが落ち込んでいるから、この世も地獄なんだと思う。
  • 1回思い通りに行かなかっただけで、それが永久に続くと思い込む。
などです。

特に落ち込んでいる人は、いいか悪いか、100点じゃなければ0点、全く問題がないか問題だらけで絶望状態か、どちらかしかないというような、白黒思考に陥りがちです。そして、ちょっとでも否定的な要素があると、ダメダメモードに心の針が大きく振れてしまいます。そして、ダメという前提で破壊的な未来を思い描き、絶望したり、自分や世界や神さまを呪ったりするのです。

しかし、「自分一人しかいない」という極端思考に陥っていたエリヤに対して、神さまは「3人を用いて偶像礼拝者たちを何とかする。それに、他に7千人の信者が残されている」とおっしゃいました。あなたと心を同じくし、一緒に神さまに仕え、一緒に戦ってくれる仲間が、そんなにたくさんいるんだよ、と。

エリヤには7千人の仲間は見えません。だから、孤独で、たった一人で大変な重荷を背負い込んでいるように思い、疲れ切ってしまいました。しかし、神さまによって視野を広げてもらったことで、希望が満ちあふれていることに気づきました。

私たちも、自分の勝手な思い込みを離れて、祈りの中で神さまが教えてくださるものの見方を受け入れましょう。

まとめ

落ち込んだり、落ち込みそうになったりしたときは、食事と休息で体を整え、神さまの愛の語りかけに耳を傾け、愛にあふれた神さまが、自分自身や世界のことをどんなふうにご覧になっているか教えていただきましょう。

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