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福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

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〒969-1302 福島県安達郡大玉村玉井西庵183

就労という目標に向かって


2018年3月号
平成29年度も最後の月となりました。お子さんの卒業・卒園、そして修了おめでとうございます。先日、発達障がいのお子さんの支援をしておられる方の講演を聴いてきました。障がいの有無にかかわらず、どんな子どもたちにも当てはまることだなあと感じた内容がありましたので、それを紹介いたします。

3つの大切なこと

子どもの支援に関わる援助職は、18歳を一つの区切りと考えます。それは、児童福祉法や労働基準法などの法令が、その年齢を区切りとしているからです。子どもが成長して18歳になったとき、進学しないのであれば就労し、継続的に勤め続けることができるほどに、精神的に自立させることが目標の一つです。社会の一員として社会に貢献できるようにするということですね。

発達障がいや心身の障がいを抱えていたとしても、社会に貢献しながら生活している人はたくさんいます。そのために身につけておくべき大切な態度が3つあります。それは、
  • あいさつができること
  • 遅刻しないこと
  • 自分が苦手なことを相手に分かるように伝えて助けを求められること
です。

逆に言うと、これらの態度を身につけていないと、障がいがなくても社会の中で苦労するということです。大切な子どもたちがこれらの態度を身につけられるよう、私たち大人は気を配り、訓練していかなければなりません。

あいさつできる

明るく元気ではっきりとあいさつ(感謝や謝罪も含む)は、社会生活、人間関係の基本ですね。ところが、企業の人事担当者が、「最近、あいさつや感謝や謝罪が全くできない新入社員が増えてきた」と嘆いておられました。そこで、新入社員にあいさつの研修をたっぷり行なわなければなりません。

名刺交換など社会人としてのマナー講習は必要なものですが、幼稚園や小学生のうちに身につけておくべき基本的な社会スキルまで入社後に教えなければならないというのは、時間と経費の無駄です。しかし、それをしないと仕事に支障が出るのですから仕方ありません。

遅刻しない

これも社会人として当然の態度です。仕事で約束の時間に遅れたら、それだけで信用を失います。ところが、社会人になって急に時間に正確になれるわけではありません。小さいときから、生活のリズムを整えておきましょう。生活のリズムが崩れると、学校の成績は確実に落ちますし、心身の健康も損ねやすくなります。

テレビを見たり、ゲームで遊んだりしても構いません。大切なことは、各家庭で生活スケジュールやルールを決めて、その通りに実践させることです。

助けを求められる

人間は万能ではありません。強みもあれば苦手もあります。赤ちゃんなら、困ったことがあったときには、ただ泣いていれば、周りの大人が気づき、勝手に配慮して助けてくれます。しかし、大人がそれでは困ります。

自立した大人が困ったことに直面し、一人で解決できないときには、どうしているでしょうか。現状を他の人に「その人が分かるような言い方で」説明し、相手が気持ちよく助けてやりたいなと思えるような方法で援助を求めますね。

ただ泣いているだけだったり、拗ねてむくれたり、暴れたりするだけだと、周りの人は何に困っていてどうしてもらいたいのか分かりません。また、怒鳴りつけられたり、命令されたり、「どうして○○してくれないの?」というような言い方をされたりしたら、誰だって気持ちよく助けたいとは思わないでしょう。助けて欲しいのなら、謙虚にお願いするのがベストです。

しかし、そういうスキルは、訓練されなければ身につきません。子どもが困っているときには、優しく質問しながら状況を話させ、どうしてもらいたいかを聞き出し、どうやって援助を求めたらいいか教えてあげましょう。

良いモデルとなろう

もちろん、言葉で教えるだけではなかなか身につきません。以前も紹介したことがある旧海軍の山本五十六長官の言葉ですが、
やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ。
私たち自身が良いモデルとなって、元気で明るいあいさつをし、生活リズムを整え、困ったときの効果的な援助の求め方を実践していきたいですね。

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福島県大玉村
スクールソーシャルワーカー
増田泰司(ますだたいじ)

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福島県安達郡大玉村玉井西庵183
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FAX.0243-48-2909