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福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

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〒969-1302 福島県安達郡大玉村玉井西庵183

魔法の杖があったなら


2019年5月号
多くの研究で、「成功に意識を向け続けると成功しやすく、失敗に意識を向けると成功しにくくなることが多い」という結果が出ています(これに関しては、こちらの記事もお読みください)。大切な子どもたちが、成功イメージを持って、勉強でもスポーツでも人間関係でも多くの実を結ぶことができるために、私たち大人に何ができるでしょうか。

ブリーフセラピー

心理療法の一つに、ブリーフセラピーと呼ばれるものがあります。ブリーフとは、短いという意味です。短期間に効果を上げようという目的で開発されました。

もちろん、複雑な問題を短期間に改善するのは至難の業です。ですから、ブリーフセラピーは、問題そのものを解決することよりも、問題を抱えている本人の気持ちの持ちようが変わることを重視します。すなわち「問題は全然解決していないけれど、なんだか頑張れそうな気がする。」「きっと何とかなる。」と思ってもらうことが目標だということです。

解決志向的アプローチ

そんなブリーフセラピーで大切にしているのが、「解決志向的アプローチ」です。「未来志向」と言ってもいいでしょう。過去を探って、トラウマや失策など原因探しをするのではなくて、今ここにあるこの問題を解決するために、これからできることは何かを考え、実行していくことを重視するということです。過去を探るとしたら、「これから何をしたらいいか」を考える材料にできるときだけです。どんなに過去の失敗を後悔しても、過去自分にひどいことをした人を恨んでも、それだけで問題が解決するわけではありませんからね。

ブリーフセラピストは、多くの特徴的な質問を用いて、悩んでおられる方の目を成功した未来に向けさせようとします。中には、思わず笑ってしまいそうな質問もあります。今回は、そんな変わった、しかし実際にやってみると思いがけず効果のある質問を紹介します。お子さんに使う前に、是非ご自分でもやってみてください。

魔法の杖

「魔法の杖」とは、こんな質問です。
あなたは、明日一日あなたの悩みを解決する魔法の杖を手に入れました。それを振ったら、明日はどんな一日になりますか?
そんな都合のいいアイテムなんか存在しないよなんて言わないで、もしあればという前提でいろいろと想像してみてください。そして、ニヤニヤしてみましょう。

タイムマシン

似たような質問に「タイムマシン」と呼ばれるものがあります。
タイムマシンに乗って、3年後(5年後、10年後)の未来に行ったとします。あなたはどんな素敵な人たちに囲まれて、どんな素敵な生活をしていますか?
この質問を使う際のコツは、「素敵な未来」に限定して想像してもらうことです。

魔法の杖やタイムマシンの質問は、私たちに課題が解決した状態を生き生きとイメージさせます(解決像)。その効果は、一つはなんだか気持ちが晴れ晴れとしてきて、前向きになってくることです。そしてもう一つは、「こういう生活、こういう人生を目標にすればいい」という目標のようなものが、なんとなく見えてくるようになることです。現在問題に直面していることを嘆くばかりだった精神状態から、解決志向、未来志向に心がスイッチするということですね。

憧れのあの人だったら

解決像を引き出す質問には、他にも「憧れの人を尋ねる質問」があります。芸能人や文化人、スポーツ選手や政治家など、誰にでも憧れの人がいるものです。生身の人間でなくても、テレビや映画や漫画の登場人物の中に憧れの人がいる場合もあるでしょう。まずはそれが誰で、どういう人で、なぜ憧れなのかを尋ねます。それから、こう尋ねます。
その憧れの人だったら、今のこの苦しい状況をどんなふうに乗り越えると思いますか?
その答えを一生懸命考えることにより、私たちは憧れの人の解決志向的・未来志向的な考え方をモデルにして、自分自身の考え方も自然に変えることができるようになります。そして、「とりあえず何をやろうか」ということが具体的に見えてくるようになります。

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増田泰司(ますだたいじ)

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