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福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

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全集中、水の呼吸


2021年6月号
最近、瞑想が静かなブームになっています。瞑想といっても、宗教的な意味合いは全くありません。心を落ち着かせ、集中力を高めるためのスキルとしての瞑想です。徐々に医療や教育の現場にも取り入れられるようになっていて効果を上げているとか。今日は、そんな瞑想についてお話しします。

マインドフルネス瞑想

ここで紹介するのは、「マインドフルネス瞑想」と呼ばれるものです。マインドフルネスとは何かということについて話し始めるととても長くなりますので、ここでは「今この瞬間を大切にする生き方」のことだということを知っていただくだけでかまいません。マインドフルネスで大事なポイントが2つあります。それは、
  1. 判断しないこと……自分や周りの状態がどうであっても、それを善悪で判断したり、好き嫌いで判断したりしないで、ただありのまま観察します。
  2. 「今ここ」に集中すること……過去どうだったかとか、これからどうなるかではなく、今この瞬間ここで現に起こっていることに集中します。

マインドフルネス瞑想のやり方

このマインドフルネスの生き方を実践するためによく採用されるのが瞑想です。いろいろなやり方がありますが、ここでは取り組みやすい「呼吸を使った瞑想法」を紹介します。

まず椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばしましょう。手は力を入れず膝の上やテーブルの上に載せます。家であれば仰向けに寝転がってもかまいません。とにかく楽な姿勢を取ります。軽く目を閉じ(必須ではありませんが、最初のうちはその方が、気が散りにくいでしょう)、何度か大きく深呼吸をしましょう。それから徐々に楽な呼吸に戻します。正式には7秒で吸って7秒で吐くというペースで呼吸をするらしいのですが、慣れないと苦しいですし、子どもだとちょっと難しいですから、自分が楽な呼吸のペースでかまいません。

重要なことは、「自分の呼吸に意識を向けること」です。入ってくる空気、出て行く空気に意識を向けましょう。うまくいかない人は、呼吸しながら「入ってくる〜」「出て行く〜」と心の中でつぶやくといいでしょう。慣れてくれば、何もつぶやかなくても意識を向けられるようになります。そして、これをただひたすら繰り返します。

 瞑想しているといろいろ雑念が浮かんでくると思いますが、それは否定しないでただ浮かぶままにします。ここで「無我の境地!」などとがんばらないでください。そんなことをしたら、雑念にますます意識を奪われてしまいます。どうしても雑念に気を取られるときは、心の中で「雑念、雑念」と唱えてから、「戻ります」と唱えて意識を呼吸に戻せば、いつの間にか過ぎ去ってしまいます。

 これを、最初は「1セット3分」続けます。もちろん、慣れてきたら1セット3分以上やってもかまいませんし、1日のうち何セットやってもかまいませんが、1日3分は最低毎日続けましょう。

授業前の瞑想

マインドフル瞑想を続けることによって集中力・注意力・自制心の向上、ストレス軽減、情緒の安定などの良い効果が出ていることが、多くの医学的・心理学的な研究で裏付けられています。ですから大人も子どもも生活の中に取り入れたいですね。

学校や塾の中には、その日最初の授業や部活動が始まる前に、5分程度のマインドフルネス瞑想を子どもたちに実践させているそうです。これを続けていくことによって、たとえば次のような素晴らしい結果を刈り取っておられます。
  • 子どもたちが、授業中おしゃべりしたり手わすらをしたり離席したりしなくなり、集中して学習や活動に取り組むようになった。
  • すぐにキレて喧嘩したり責めたりすることが減り、子ども同士の人間関係が良好になった。
  • 自己肯定感が低く万事に消極的だった子が、前向きになりいろいろなことにチャレンジできるようになった。
  • 学習効率・練習効率が向上した。
  • 不注意による怪我が減った。
  • 成績が目に見えて向上していった。
ぜひ、ご家庭でも瞑想を実践してみてください。もしお子さんが乗ってこないようなら、
鬼滅の刃の『全集中の呼吸』をやってみよう。
と誘ってみるのはどうでしょう? 実際の鬼は退治できそうにありませんが、心の鬼は退治できます。

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スクールソーシャルワーカー
増田泰司(ますだたいじ)

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