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福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

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ルーティンの活用


2021年9月号
少し前のことになりますが、野球のイチローさん、ラグビーの五郎丸さん、体操の内村さんなど世界的なスポーツ選手が、プレーの直前に決まった動作をするのが注目されるようになり、それ以来「ルーティン」(routine、ルーティーン、ルーチン)という言葉が一般化しました。このルーティンは子育てにも活用できます。

ルーティンとは

ルーティンという用語は様々な分野で用いられます。たとえばコンピューターのプログラミングの世界では、プログラムの中で繰り返し必要とされる処理のことです。ビジネスの世界では、同じ作業を繰り返し行なういつもの仕事という意味です。マンネリとか惰性というネガティブな意味で用いられることもあります。要するに、「いつも行なうあらかじめ決められた行動」「習慣的にいつも行なっている行動」のことです。

スポーツ選手が行なうルーティンはメンタルトレーニングの一種で、緊張・興奮・不安など精神面の影響でベストパフォーマンスを発揮できないことがないよう、落ち着いてプレーするために行なわれます。

では、それをどのように子育てに応用するのでしょうか。その一つが、生活のリズムを決めるという方法です。それを続けることによって、それぞれの行動がしっかりと身につきやすくなります。と同時に、「親に命令されたからやる」という指示待ちの態度ではなく、「自分で行動する」主体性が養われます。

ルーティンを作ってみよう

一日のルーティン

まず大切なのが、一日の流れをルーティン化すること。何時に起きて、何時にご飯を食べて、何時に仮眠して、何時にお風呂に入って、何時に本格的に寝るかなど、極力毎日のリズムを一定にすることです。たとえ休みの日でもです。

もちろん子どもの年齢や家庭の状況によって、あとで変更するのはかまいませんし、他の子や家庭と違ってもかまいませんが、とにかく決めたらしばらくはそのリズムを崩さないことが大切です。そうすると、自然と「そろそろ寝る時間だな」「宿題やんなきゃ」と体が覚えてくれます。

子どもと一緒にルーティンを作る

言葉でやり取りができるほど子どもが成長したら、親が一方的にルーティンを作るのではなく、子どもと一緒に作ってみましょう。そうすると子どもの主体性を磨くことができますし、「自分が作ったんだから」という理由で実行する確率が高くなります。

たとえば、幼児と一緒にルーティンを作る手順は……
  1. A5版くらいのカードを用意します。大きさは子どもの見やすさや作りやすさ、年齢に合わせて変えてかまいません。
  2. 「目を覚ましたら、それから何をするかなあ?」と尋ねます。
  3. それをカードの右半分(あるいは下)に書いてもらいます。可能なら子どもに書いてもらいましょう。まだ字を書けなければ親が代筆します。
  4. カードの左半分(あるいは上)に、その行動をしている絵を描きます。その子が、絵が好きなら自分で描いてもらってもいいですね。写真でもOKです。
  5. それぞれのカードを、子どもと話し合いながら順番に並べて、縦につなげます。
  6. できあがったカード群を、子どもの目に付きやすい場所に掲示します。

見える化すること

小学校低学年くらいになれば、多くの子どもは絵を使わなくてもルーティンを決められるようになるでしょう。ただ、それでも言葉カードや一覧表、すなわち目に見える形で示すことが大切です。中学生でも、帰宅後のルーティンを親と一緒に決めて、それを表なり手帳なりに記入させます。

質問を使って思い出させる

「早く着替えなさい!」「さっさと宿題やる!」と指示したり叱ったりする代わりに、作ったルーティンのカード群や表や手帳を示しながら、「次は何するんだっけ?」と尋ねれば、親も子どももイライラしなくて済みますね。

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スクールソーシャルワーカー
増田泰司(ますだたいじ)

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