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福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

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子の気持ちの上手な扱い方 その1


2022年5月号
前回は、強い心の育て方というテーマでお話ししました。その際、子どもの心を強くするには、「周りの大人たちから気持ちを上手に扱ってもらう」体験を積み重ねることが必要だと申し上げました。今回は、その方法の一つをお話しします。それは「子どもの話を傾聴すること」です。

傾聴

傾聴とは、(1)こちらの意見や感想はできるだけ控えて、(2)相手の気持ちとそう感じる理由に焦点を合わせ、(3)3つのポイントに留意しながら、相手の話を聴くことです。

(1) こちらの意見や感想はできるだけ控える

子どもの話(に限らず大人相手でも同じですが)を聴く際は、まずは指導、しつけ、命令、アドバイス、提案、感想などこちらからのアプローチをできるだけ控えましょう。相手の話の腰を折らず、最後までしっかり話してもらうためです。

指導したりアドバイスしたりしてはいけないのではありません。そうする前に、まずはしっかり相手の話を聴きましょうということです。というのは、話をしっかり聴いてもらったという満足感を与えないと、相手もこちらの話をしっかりと聴いてくれないからです。

(2) 相手の気持ちとそう感じる理由に焦点を合わせる

いつ、どこで、誰が、何を、どうしたという事実はもちろん大切です。しかし、子どもたちが分かって欲しいと願っているのは、「今どんな気持ちなのか」、あるいは「事件が起こったその時にどんな気持ちだったのか」ということです。そして、「どうしてそう感じたのかという理由」です。

子どもの話を聴いていると、「どうしてそういう感じ方をするかなあ」と否定したくなったり、理由も誤解や偏見に基づくもののため訂正したくなったりするかもしれません。しかし、皆さんが友だちや家族に相談したり愚痴をこぼしたりしたときに、「でもあなたにも悪いところがあると思うよ」とか「そういう捉え方っておかしいよ」とかいうふうに否定されたら、よけい嫌な気持ちになって、それ以上何も言いたくなくなったり、反発したくなったりしませんか?

ですから、まずはしっかり気持ちと理由を聴き取りましょう。そして、「なるほど、そんなふうに思ったんだね」「ああ、だから怒っちゃったんだね」と受け止め、「それは嫌だったよねぇ」「だったら怒るのも無理ないよね」と理解を示してやりましょう。

それは子どもの言い分を全部肯定するという意味ではありませんし、子ども以外の誰かを悪者にするということでもありません。いったん子どもの気持ちと理由を受け止め、十分理解を示した上で、必要なら「でも、お父さん/お母さん/先生はこういうふうに思うんだけど……」と、客観的なものの見方や、よりふさわしい行動について教えてやるといいでしょう。

(3) 3つのポイントに留意しながら聴く

3つのポイントとは、「相手を見ながら聴く」「うなずきながら聴く」「相づちを入れながら聴く」です。これらはすべて「私はあなたの話をしっかり聴いているよ」というサインです。

皆さんは、話している相手が携帯をいじりながらこちらを一切見なかったり、全然うなずかなかったり、「ふーん」「へー」「なるほどなあ」「そうなんだー」「うんうん」などの声を一切出さずに、黙って聞くだけだったりすると、きっと話しづらいはずです。ですから、お子さんの話を聴くときには、これら3つのポイントを意識しながら聴きましょう。

返報性の原理

人間関係の法則の中に、「返報性の原理」と呼ばれるものがあります。これは、人は他の人から好意を示されると、その人にお返しをしたくなるという法則です。お店では、この原理を利用して、皆さんに無料プレゼントや格安バーゲン品を提供しています。お客さんに良くしてあげると、お客さんはお返しにそのお店で買い物をしたくなるからです。

皆さんがお子さんをしつけたり指導したりするには、皆さんの話をお子さんに聴いてもらう必要がありますね? もし、普段から皆さんが子どもの話にしっかりと耳を傾け、気持ちやその理由をしっかりとくみ取ってやっているなら、お子さんの心に返報性の原理が働いて、皆さんの話にしっかりと耳を傾け、反応してくれることでしょう。

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増田泰司(ますだたいじ)

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