2023年2月号
子どもの強い心を育てるために必要なことは、子どもの自信(自己肯定感、自己信頼感、自尊感情)を育てることです。前回は、「叱るときは行動を問題にし、ほめるときは人格をほめよう」と申し上げました。今回のテーマは「
ほめ方をさらに工夫してみよう」です。
ほめ方の工夫
(1) ほめるより感動・感謝
子どもが成長してくると、「偉いね」とほめると馬鹿にされていると感じ、逆に嫌な気持ちにさせてしまうことがあります。ほめるという行為は、基本的に上の人から下の人に与えるものだからです。
ほめるというより、「こんなことができて、すごいなぁ!」と感動したり、「○○してくれてうれしい。ありがとう!」と感謝したりすることを意識してみましょう。ずっとストレートに自信を子どもに注ぎ込むことができます。
教育家の石田勝紀さんが、子どもの自己肯定感を引き上げる10のマジックワードを紹介しておられます。その中で感動と感謝のフレーズをピックアップしますので、ぜひ使ってみてください。
「なるほど!」「すごいね!」「さすがだね!」「知らなかった!」「いいね!」
「助かった!」「ありがとう!」「うれしい!」
(2) 比較するなら過去のその人と
他の子と比較して叱るのは、子どもの自信を削り取るから良くないというのは、いろいろな場面でお聞きになったことがあるでしょう。実は、他の子と比較してほめるのも良くありません。
「他の子と比べて優れているから」「他人との勝負に勝ったから」という相対的な自信は、自分よりも優れている人が現れると途端にしぼんでしまうからです。あるいは、失敗や敗北を必要以上に恐れ、さまざまなことにチャレンジしなくなるかもしれません。
比較するなら、過去のその子と比べてください。1カ月前、半年前、1年前、3年前と比べて何ができるようになりましたか? どんな知識を手に入れましたか? 探せば絶対に進歩しているところがあるはずです。それを指摘して、「○○ができるようになったね。すごいなぁ」と感動を伝えましょう。
(3) マイナスだと思える点のプラス面を指摘する
どんな物事にもプラス面とマイナス面があります。性格も同じです。たとえば、グズはていねい、怒りっぽいのは正義感に満ちている、落ち着きがないのは活動的、気弱は優しさです。「あなたにはこういう一面もあるよ」と折に触れて伝えましょう。するとそのプラス面が育っていきます。
(4) 結果以外の部分をほめる
結果をほめるだけでなく、どんな動機で始めたのか、また結果が出るまでの過程でどんな工夫をしたりどんな困難を乗り越えてきたりしたのかに注目しましょう。たとえば、お父さん、お母さんの助けになりたいと思ったとか、本当はゲームをやりたかったけど我慢して先に宿題に手を付けたとか、これまでやったことのない問題に挑戦したとかです。そういった結果以外の点について感動や感謝を伝えましょう。
(5) 自分で気づかせる
上記2〜4番を、お子さんと一緒に探してみてもいいですね。人から言われるより、自分で見つけた方がより強力な自信になります。真剣にやらないで、ゲーム感覚で楽しみながらやるのがコツです。
(6) 間接的にほめる
お子さんのいいところを、他の家族や周りの人にどんどん伝えましょう。すると、その人たちを通してお子さんの耳にも入るでしょう。第三者から聞くとより信憑性が高く感じ、自信につながります。
逆に、周りの人に子ども(や配偶者)の良くないところを伝えて愚痴っていると、回り回って本人の耳に入り、自信を削り取ることになります。伝えるなら良いところを、です。
以上、ほめ方の工夫を紹介しました。一度に全部やろうとすると大変ですから、まずは1つか2つ選んで実践してみてください。しばらく続けて効果を実感したら、別のやり方にも挑戦してみましょう。