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福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

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〒969-1302 福島県安達郡大玉村玉井西庵183

強い心の育て方 まとめ


2023年月号
この「スクールソーシャルワーカーだより」は、4月以降お子さんの「強い心」の育て方をテーマにお届けしてきました。さて、今年度最後のおたよりの内容は……?

アンダードッグ効果

心理学で「アンダードッグ効果」と呼ばれている心のカラクリがあります。これは「勝負事や選挙などで、不利だと言われている方を応援したくなる心の動き」を指します。日本語の「判官贔屓」(ほうがんびいき)に近いですね。

人間にはそういう傾向があるので、誰かに弱みを見せられ頼られると、その人を助けたいという気持ちになります。ですから、次のようなことに注意して伝えてみましょう。
  1. 今のままだと、自分(話し手)が困るのだということを訴える。
  2. だから助けて欲しいということを伝える。
  3. そして、具体的にどのように行動して欲しいか伝える。
  4. ぜひそれを実行して自分を助けて欲しいとお願いする。
たとえば、子どもが食後に食べっぱなしで、ごちそうさまを言わないので、言うようにさせたいとします。その場合には、「せっかく作ったのに、ごちそうさまって言ってもらえないと、作りがいがなくてお母さん悲しくなっちゃうなぁ。ごちそうさまって言ってくれると、作って良かったって思えてやる気が出るんだ。だから、食事が終わったらごちそうさまって言ってくれるとお母さんうれしいな」などとお願いしてみましょう。

玄関の掃除をやってもらいたいのなら、「お父さん、最近残業続きで家で担当している掃除がなかなか行き届かないんだ。悪いけど、週1回の玄関掃除の担当を代わりに引き受けてくれないか? それだけでもとてもお父さん、助かるんだけどな」とお願いします。

「やりなさい」と上から目線で命令するよりも、「このままだと私がこんなふうに困るんだ。だから、手助けしてほしい」とお願いされる方が、子どもも(もちろん大人も)受け入れやすいことでしょう。

注意点

ただし、最初から嫌悪感を抱いている相手には、アンダードッグ効果は働きません。いくら弱小チームでも、選手が普段からサボり気味でほとんど練習していないことを知っていれば、応援したいという気持ちにはなりません。また、選挙で不利な候補者が、普段から傲慢で失言ばかりなら応援したくないでしょう。結局、人は相手が好きだから応援したくなるのです。子どもに応援してもらいたければ、普段から親や周りの大人が子どもを応援し、優しくし、温かく見守っている必要があります。

そして、頼りすぎは禁物です。手伝って当然という態度も厳禁です。皆さんだったら、どんな頼られ方をしたら、ぜひ手助けしたいと思うでしょうか。逆に、どんな頼られ方だとうんざりするでしょうか。それを参考にしてみましょう。

貢献感と強い心

今回アンダードッグ効果の話をしたのは、子どもを大人の思い通りに動かすためではありません。子どもから強い心を引き出して養うためです。今年度私がお話ししてきた「強い心」は、やるべきこと、望ましいことを、いろいろな困難があってもやり続けられる力を指しています。他の人に親切にし、困っている人に助けの手を差し伸べる態度もまた、強い心から生じます。

他人から頼られると、私たちの心には「貢献感」(人のお役に立っているという感覚)が生まれます。これは、「自分には他の人を助けることができるだけの力がある」という自信につながります。すなわち、その分だけ心が強くなり、さまざまな困難に立ち向かう力の元となるのです。

来年度もよろしくお願いします

さて、お子さんの卒園・卒業、進級、進学おめでとうございます。お子さんが中学校を卒業なさっても、このバックナンバーサイトから「スクールソーシャルワーカーたより」を読むことができます。今後ともご愛読いただければ幸いです。それでは、来年度もよろしくお願いいたします!

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福島県大玉村
スクールソーシャルワーカー
増田泰司(ますだたいじ)

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