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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

絶対なんて絶対ない?

(2009年5月17日)

ある学生が論文を書きました。要旨は、「絶対的な善悪はない。すべては相対的であって、本人がいいと思えば善なのである」というものでした。

論文の筋も良く通っており、学生本人はA評価をもらえると思っていました。ところが実際にもらった成績は、なんとF(不合格)。びっくりして指導教授のコメントを読むと、「ファイルの表紙の色が気に入らない」と書いてあります。

学生は教授の部屋に飛んでいきました。「先生、こんなくだらない理由で私を不合格にしたんですか? ひどいじゃないですか!」

すると教授はにやりと笑って言いました。「君がなぜそんなに腹を立てているのか、僕には分からないね。君は『ファイルの色で論文の評価を下すのは悪だ』と思っているようだが、なぜそれを僕に押しつけるのかね? 僕はファイルの色で論文を評価したいのだ」。

そして、真顔になって優しく言いました。「やっぱり君は、絶対的な善悪基準があると信じているんじゃないか。自分が嘘だと思っていることを論文に書いてはいけないよ」。

宗教なんて何だっていいじゃないか。どの宗教でも、結局は同じなんだ。お互いに迷惑をかけない限り、それぞれが信じていることを尊重しよう。伝道なんて押しつけはやめよう……とても寛容ですばらしい考えに思えますが、実際はどんなもんでしょう。「どの宗教でも同じだという考え」の押しつけなんじゃないかなあ?

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