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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

私が守るから

(2016年10月9日)

A子さんは、ご自分のことをヒステリックな性格だったとおっしゃいました。ほんの些細なことで、家族の前でわめきちらすのです。嵐が静まった後で、またやってしまったと反省するのですが、自分でもこの爆発をどうすることもできませんでした。

ある時、友だちに誘われて教会に行くようになったA子さんは、クリスチャンになる決心をし、洗礼を受けました。そして、神さまに祈ることを始めました。爆発しそうになると、口を押さえ、とりあえずトイレに駆け込みます。そして、怒りを家族にではなく神さまの前にぶちまけるのです。トイレを長時間占拠されますから、家族は迷惑だったかもしれませんが、それでも以前のようにA子さんが爆発することがなくなったので、一同「神はいるかもしれない」と思い始めたそうです。

しかし、A子さん自身はまだもやもやしていました。爆発こそしなくなりましたが、嫌な感じはまだ心の中にくすぶっていて、釈然としない思いが漂うのです。牧師に相談すると、牧師はこう答えました。「いつものように、神さまにあなたの思いを聴いていただいた後、今度はイエスさまの声を聴いてご覧なさい」。

A子さんは、さっそく次の機会に実践してみました。自分の心の中にある悪感情を洗いざらいぶちまけた後、「ところでイエスさま、この私に何かおっしゃることはありませんか?」と祈ったのです。すると、誰かが語りかけてきた気がしました。明確に声を聞いたわけではありませんが、こんな思いが心の中に入たそうです。「がんばらなくてもいいんだよ」。

A子さんは「へ?」と思いました。何の脈絡もない言葉だったからです。しかし、その言葉を反芻すると、なんだか心の中がほっとするような、いい感じがします。A子さんはさらに尋ねてみました。「イエスさま、あなたですか? いったい、どういう意味でしょうか。そう言われて、とても気持ちが落ち着くのですが」。

すると、またこんな思いが浮かんできました。「あなたの心の奥底から、『大変だ、大変だ』という声が聞こえてくる。何が大変なのかあなたには分からないけれど、とにかく大変だから何とかしなければと思っている。しかし、あなたが大変だと焦っているほどには、あなたの家族は真剣になってくれない。だからあなたは怒っていたのでしょう? そして、誰も頼りにならないから、自分が何とかしなければと思って、ますます焦っていたのでしょう? でも、あなたが大変な目に遭わないように、私があなたを守り、支えているんだよ。だから、あなたががんばって、自分を守る必要はないんだよ。私が守るからね」。

その日以来、A子さんはイライラするたびに、「ああ、このイライラは、イエスさまが私を守っていてくださっているということを思い出させてくれているんだ」と思うようになりました。すると、ふっと力が抜けて、楽になっていくのを覚えます。そして今では、「うちのお母さんは、ずいぶんと柔和になった」と家族に言われるほどになったのです。そして、程なく、ご主人も子どもたちも教会に導かれ、洗礼を受けました。

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